読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

古本のおひさま堂がゆくわよ!

子どもの本に囲まれて暮らすおひさま堂が記す、絵本と児童書の紹介・感想・覚書

真髄は最後の10ページに!『ユリシーズ・ムーアと時の扉』

本好きとは思っているが、正直 児童書でも、読了まで気力が続かずに挫折してしまう本がないわけではない。

読んでいる時の自身の体調など、本の内容に原因があるわけではない場合もあるが、そういう本は何度読み直してみても同じ結果になることが多いように思う。きっと相性が悪いのだね。でも、辛抱して読んだその先に思いがけない結末に出会った時の嬉しさは格別だ。『ユリシーズ・ムーアと時の扉』は、そんな類の本かもしれない。

 さて、『ユリシーズ・ムーアと時の扉』はいろいろな意味で驚かされる本である。

ユリシーズ・ムーアと時の扉 (ユリシーズ・ムーア 1)

まず、そのデザインにビックリだ。カバーは流行のファンタジー作品のそれだが、カバーを外すとそこには全く別のデザインが現れる。いかにも古書という雰囲気の表紙は、それだけで本好きを物語に誘う。その上、あろうことか、物語はこの本の出版社である学研パブリッシング宛の1通のE-メールから始まるのだ。

古書とE-メール、似つかない2つのアイテムが、読者をファンタジーの世界に一気に取り込んでしまう。

 読者は、この本に著者名が記載されていないことに気付いただろうか。だれが書いたものなのか? メールを送ってきた人の創作なのか? その1点だけでもワクワク感を高めてくれる。

 主人公が引っ越してきた屋敷の前の持ち主は、得体のしれない謎多き人物。その人物が残したと思われる古代文字で書かれたメモを発端に主人公たちの冒険が始まる。

いかにも怪しげな人物や何かの伏線と思われる出来事の数々に、「先が読めちゃうかなあ……」と思っていたら、意外なラストにやられたあ! そう、このお話の真髄はラスト10ページにあるのだ。本を読みなれた人が「たぶん〇〇ね!」などとわけしり顔で想像するそのさらに上を行く展開が最後に待っている。最後の大きな驚きを楽しみにしながら、読んでいただきたい。

 『ユリシーズ・ムーアと時の扉』は、「ユリシーズ・ムーア」シリーズの第1作である。時の扉を最後まで読んだ人は、きっと次作を読まずにはいられないだろう。第1作であると同時にシリーズの序章としての役割も充分果たしているのだろうと思う。私も、さっそく図書館で第2作『ユリシーズ・ムーアとなぞの地図』を借りた。

 やや冗長に思えた第1作の出だしに比べ、第2作は最初から物語が動いていく! こちらは、読後にまた報告しよう……。

 ※おひさま堂に現在 在庫有り⇒『ユリシーズ・ムーアと時の扉』

(在庫がなくなると表示されません。悪しからず。)